ワタシノタイヨウ
彼とは1年半前病院で出会ったらしい。

2つ年上だと言っていた。彼女が病気で辛い時、彼が支えてくれたそうだ。


『ふぅん、そうなんだ‥』


そう言って私は、また窓の外を見つめた。


さっきより雨が小降りになっている。


そんな私を見てツキコは、


「好きに理由なんていらないんじゃないかな。頭で考えるより、心や行動で好きって分かる事ってあると思うから‥。」


私はツキコの言葉に


『うん、そうだね。』


と素直に答えていた。



昨日彼に冷たく突き放され、どうする事も出来なかった私。

私の中で、彼の存在がどんどん大きくなり、胸が苦しくて涙が出そうになる。


きっと初めて彼を見た時から、私は恋に落ちていたんだ。

ただはっきり気がつかなかっただけで‥。


今は、この胸の苦しみがなんなのかはっきり分かる。

私は、ツキコに彼の事を話した。


「カスミにも、やっと大切な人が見つかったんだね。なんか安心した。私応援するよ。」


と嬉しそうに微笑んだ。


ツキコに彼の事を話した事と、はっきりしなかったこの気持ちが恋だとわかった事で、私の気持ちが前向きに変わり、落ち込んでいた心も少し吹っ切れた気がした。



*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
< 17 / 156 >

この作品をシェア

pagetop