ワタシノタイヨウ
放課後……。


「カスミ、今日もあれやるの?」


ツキコは私の耳元で囁く。


『もちろん!』


笑顔でそう答える私に、


「後つけて見てるだけじゃなくて、早く話しかけてみたら。頑張れよ。」


ポンっと肩を叩き、笑顔で私を励ましてくれる。


「じゃあまた明日ね。」


と手を振りながらツキコは教室を後にした。


(わかってるよ。今日こそは…)


私はカバンを手に持ち、いつものように先生を探しに出る。



職員室と裏庭には姿は見えない。


(今日は資料室かな…それなら都合がいいかも…)


そう思った私は、ドキドキしながら資料室へ向かった。


ドアの前で立ち止まり、深呼吸を何度かする。


(よし…)


私は覚悟を決め、ドアを2回ノックした。
少し間があってから、


「…はい。」


彼の声だった。
やっぱりここにいた。
私はドアに手をかける。


『失礼しま〜す。』


勢いよくドアを開けると、彼が驚いた顔で振り向いた。

「鈴原…」彼が小さく呟く。


私は心の中で(平常心、平常心)と思いながら、大きく息を吸い、


『すいません。今日の授業で解らない所があって…教えて欲しいんですけど。』


元気よく笑顔でそう言うと、彼は私の勢いに少し呆気にとられ、しばらく私の顔を見つめていた。



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