ワタシノタイヨウ
少し休憩と彼が言ったので、私もジュースを飲んでくつろいでいる時だった。


「この前は、怒鳴って悪かったな…。」


『えっ‥』


視線をそらし、ボソッと言う彼。

私は彼の急な言葉に驚き、なんて答えていいかわからず、黙っていた。


そんな私を見て、彼は何もなかったかのように、


「休憩終わり。じゃあ、さっきのとこもう一度説明するから、ちゃんと覚えろよ。」


そう言って私の頭に手を乗せる。私はハッと我に返り、


『は、はい。お願いします。』


慌てて教科書に目を移すと、先生の説明を今度は集中して聞いた。



彼も彼なりに、あの日の事を気にしていてくれたらしい。

私はそれが嬉しくて、諦めずにもう一度会いに来てみてよかったと思った。



「…今度は、わかったか?」


彼はまた私の顔を覗き込むように見てたずねた。


『はい。今度はバッチリです!』


笑顔でそう答えると、それを見た彼は少し顔をそらし、


「そっか。忘れんなよ。」


と頭をかきながら、照れたように言った。

そして時計をチラッと見ると、


「今日はもう遅いから、ここまでだな。」


そう言って教科書を閉じる。

私は少しなごり惜しかったけど、教科書をカバンにしまいお礼を言って立ち上がった。



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