ワタシノタイヨウ
彼の近くまで行くと、何やらガタゴトと作業をしていた。


『先生、何してるの?』


私が不思議そうにたずねると、


「ん‥この部屋整理しとけって言われてな…。』


何段にも重ねられている段ボールを開けながら、


「ったく、こんな物置部屋整理しろって言われてもなぁ‥。」


少しめんどくさそうに、ブツブツ言いながら、段ボールの中の物を棚へ並べたり、移動させたりしていた。


(どうしよう。忙しいかな‥)


私が何も言わずに見つめていると、彼は私をチラッと見て、


「久しぶりだな。」


そう言って手を止め、ニヤっと笑った。

なぜか私は彼の言葉に面食らい、


『な、何回か来たんですよ…でも先生いなくて…。』


顔が赤くなるのを感じ、しどろもどろに話す私。そんな私を見て、


「悪かったな。ここんとこ忙しくて。」


そう言い彼は私に近づいて来た。


『いえ、別に大丈夫です…けど、今日も忙しい?』


私は少し上目使いに聞いてみると


「いや、別に今日までにやらなきゃいけないわけじゃないから。」


そう言って椅子に座り、ポケットからタバコを取り出した。

そして私にも座ればと目で合図を送った後、窓を開けタバコに火をつける。



*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
< 29 / 156 >

この作品をシェア

pagetop