ワタシノタイヨウ
(ヤバイ新学期早々遅刻するぅ)


私は駅の階段を、息を切らしながらかけのぼっていた。


いつもより早めに家を、出てきたはずなのに…。


途中、思いがけない出来事に、しばらく立ち止まって考え込んでいたせいで、猛ダッシュする羽目に…。





  * * * * * *



「カスミ〜早く〜」


体育館の入口で友達が手を振りながら叫んでる。


なんとか始業式には間に合いそうだった。


廊下を走っていると、前に先生が歩いていた。


先生は私に気がつくと後ろを振り向き叫んだ。


「こら〜廊下走るんじゃない。」


『すいませ〜ん。』


私はニコッと満面の笑顔で謝りながら、とりあえず走るのを止め、速足で先生の横を通り抜けようとした。


するとその時「クック」と笑い声が聞こえ私は振り返る。


(…えっっ、あの人!)


そこには、今朝桜の木の下で見た彼の姿があった。


私は驚き一瞬立ち止まる。


他にも何人かいたけど、私には彼しか目に入らなかった。


「ほら、新任の先生に笑われてるぞ〜。」


私はその声で我に返り、恥ずかしくなって、うつむきながらまた走り出す。


「こら、走るんじゃない。」


後ろからまた注意されたけど、それには従わずに私はそのまま走って体育館へ入っていった。



彼は赴任してきたばかりの新任教師だったんだ。



*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
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