ワタシノタイヨウ
『相変わらずヘビースモーカーですね。』


彼が外に向かって煙りを吐いている姿を見て、クスクス笑いながら言うと、彼は少し考えてから、


「…そう言えば、お前がいる時いつも吸ってるっけ…。」


横目で私を見てそう言うと、


「まだ誰にもバラしてないみたいだな。」


と言って少し微笑んだ。

その言葉に私は、


『だって二人だけの秘密でしょ』


と彼の顔を覗き込んで言うと、私たちは顔を見合わせて笑った。


(なんだか幸せかも…)


彼の笑顔を見て一人幸せに浸っていると、急に彼が、


「勉強聞きに来たんだろう。ほらテストも近いし、さっさと始めるぞ。」


いつの間にかタバコを消し、教科書を開いてスタンバっていた。




それから1時間みっちり教えてもらい、区切りのいい所で少し休憩になった。


(あっそういえば、今日コーヒー忘れてた。)


そう思っていると目の前に、


「ん。」


彼が100%リンゴジュースを差し出す。


『えっ‥』


私は驚いて彼のほうを向くと、彼はすました顔でコーヒーを飲んでいた。


「今日来ると思ってたからな‥」


『私のために…?』


私は小さく呟くと、嬉しくなってぼんやりとジュースを見つめていた。


(私が好きなの覚えててくれたんだ‥)


そんな私を見て彼は、


「いらないなら、オレが飲むぞ」


と言って差し出していた手を引っ込めようとした。


『あっダメ。頂きます!』


私は慌てて彼の手からジュースを奪い取った。

彼は驚いた顔をして私を見ると、「変なヤツ…」と呟いた。



*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
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