ワタシノタイヨウ
『ねぇ先生、なんでここの整理頼まれたの?』


段ボールを開けながら、私は彼に聞いてみる。


「ん‥、一人で仕事するのに部屋が欲しくて、ここ使わせて貰ってるから‥」


なんでも物置部屋になりつつあるこの資料室を使わせてもらっている為、時間のある時でいいからと整理を頼まれたそうだ。


「こんな部屋、使いたがる先生もいないしな。」


そう言って彼はフッと笑った。


『でもさ〜これ1日じゃキレイにするの無理だね。』


私は辺りを見回して、ため息をつく。


「まあ、気長にやるさ。」


私の頭をポンッと叩き、近くにあった山積みになっている本を棚に並べる。


「そう言えば、お前部活とかしてないのか?」


『へっ?』


珍しく彼が私の事について聞いてきたので、私がキョトンとした顔をすると、


「いや、いつも放課後ここに来てるから…」


彼はチラッとこちらを見て、すぐに棚へ視線を戻した。


『あっ、えっと…一応テニス部なんですけど…気が向いた時しか行ってないんで……』


私はしどろもどろに答える。

彼に部活に行けって言われるんじゃないかと少しびくびくしていると、


「そっか‥テニス部なんだ。」


と言ってあとは特に何も言わず、黙々と作業をしていた。

私はホッとして、逆に彼に聞いてみる。


『先生は学生時代、何か部活やってたの?』


少しの沈黙の後、彼はボソッと答える。


「…バスケ部」


『へえ〜そうなんだぁ。先生背高いもんね。バスケ合ってるかも。』


私は彼の立っている姿をじっと見ながら言い、


『先生身長いくつ?』


と聞いてみた。

彼は私のほうは見ずに、


「たしか、182、3かな。」


『うわ〜デカイ!』


私が驚いていると、


「お前、チビだよな。」


と言って、横目で私を見て少しバカにしたように笑った。



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