ワタシノタイヨウ
私の身長は150そこそこしかない。

『小さい方がかわいいんです。』

私は小さい事をバカにされたのが悔しくて、ほっぺを膨らましてそう答えた。

それを見て彼は、またクスクスと笑い出す。



そんなたわいのない話しをしながら、私たちはしばらく作業をしていた。



『先生、これどこにしまう?』


「あぁそれは、そこの棚の一番上に…ってお前じゃ届かないな。オレやるから置いとけ。」


私はさっき「チビ」と言われた事をふと思い出し、


『脚立あるから大丈夫!』


と少し意地になりながら、近くにあった脚立を持ってくる。


「気をつけてやれよ。」


彼はそんな私を見て、笑いをこらえながら言った。


私は脚立をセットして、本を片手にスタスタと脚立を登った。

高い所は好きだったので、特に恐怖はない。

でもそのせいで、注意力が足りなかった私は、本を棚にしまおうとした瞬間バランスをくずしてしまった。


『キャッ!』


落ちる…そう思った瞬間、脚立は後ろへ傾き…ガラガラ、ガッシャン!


体が宙に浮き…そのまま床に体を打ちつけて……。


(あれ!?あんまり痛くない。)


目をギュッと閉じていた私は、そっと目を開けて見ると、目の前に私を抱きかかえ心配そうに見つめる彼の顔があった。


私はびっくりして、状況がのみ込めず固まっていると、


「ったく、だから気をつけろって言っただろ。」


そう言って彼は髪をクシャっとかきあげ、ため息をついた。


彼は落ちる私を受け止め、倒れてきた脚立と、上から落ちてくる本から、身をていして守ってくれたようだ。


「おい、大丈夫か?ケガしてないか?」


放心状態の私を床に座らせ顔を覗き込む。

私はハッとして、


『私は大丈夫。それより、先生痛いとこない!?』


私は震える手で慌てて彼の体に触れた。

彼は一瞬驚いた顔をしたが、私の手を優しく掴み、


「オレは大丈夫だよ。お前にケガがなくてよかった…」


そう言って、私をギュッと抱きしめた。



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