ワタシノタイヨウ
私は彼に抱きしめられて再び固まってしまった。
(先生……)
ドキドキが彼に聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい大きな音をたてて響いている。
彼の体から、かすかなタバコの香り…。
このまま時が止まってしまえばいいのに…とさえ思う。
でも私を抱きしめる彼の腕は力強く、私はだんだん苦しくなっていた。
『…先生。』
なんとか声をしぼり出して彼を呼んでみる。
その声にハッとした彼は、抱きしめていた体を勢いよく離し、
「わ、悪い…」
そう言って少しうつむいた。
そして再び顔を上げ、
「ほんとにケガはないか?」
心配そうに私を見つめていた彼の手がそっと頬に触れた。
触れられた頬が熱くなるのを感じながら、心配してくれる彼を見て私は嬉しくなる。
『ほんとに大丈夫だよ。先生が、私を守ってくれたから。』
私は彼に笑顔を見せた。
その時、彼の表情が少し曇った事に私は気がつかなかった。
彼の手が、私の頬から離れる。
私は彼が自分を守ってくれた事、そして抱きしめてくれた事に少し浮かれていて、彼の変化に気づかなかった。
『先生ってすごいね。落ちてくる私をとっさにキャッチして、助けてくれるんだもん。先生が受け止めてくれなかったら、私頭打って死んじゃってたかも。守ってくれて本当にありがと。』
私が少し照れながら再びお礼を言い彼の顔を見ると、彼は床に視線を落としたままじっと動かなかった。
*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
(先生……)
ドキドキが彼に聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい大きな音をたてて響いている。
彼の体から、かすかなタバコの香り…。
このまま時が止まってしまえばいいのに…とさえ思う。
でも私を抱きしめる彼の腕は力強く、私はだんだん苦しくなっていた。
『…先生。』
なんとか声をしぼり出して彼を呼んでみる。
その声にハッとした彼は、抱きしめていた体を勢いよく離し、
「わ、悪い…」
そう言って少しうつむいた。
そして再び顔を上げ、
「ほんとにケガはないか?」
心配そうに私を見つめていた彼の手がそっと頬に触れた。
触れられた頬が熱くなるのを感じながら、心配してくれる彼を見て私は嬉しくなる。
『ほんとに大丈夫だよ。先生が、私を守ってくれたから。』
私は彼に笑顔を見せた。
その時、彼の表情が少し曇った事に私は気がつかなかった。
彼の手が、私の頬から離れる。
私は彼が自分を守ってくれた事、そして抱きしめてくれた事に少し浮かれていて、彼の変化に気づかなかった。
『先生ってすごいね。落ちてくる私をとっさにキャッチして、助けてくれるんだもん。先生が受け止めてくれなかったら、私頭打って死んじゃってたかも。守ってくれて本当にありがと。』
私が少し照れながら再びお礼を言い彼の顔を見ると、彼は床に視線を落としたままじっと動かなかった。
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