ワタシノタイヨウ
「嘘ついてもダメだぞ。オレは何でも知ってるんだからな。」


彼はうつむいている私の顔を覗き込んだ。


『…なんで…知ってるの?』


怒られている子供のように、少し甘えた感じで上目使いに彼を見ると、


「それは、秘密。」


そう言う彼に(本日2度目)髪の毛をクシャクシャっとされた。


「明日は部活に出ろよ。」


彼はまたパソコンと向き合い仕事を始める。


『はぁい…』


私は諦めて明日は部活に出ようと決めた。



少ししょんぼりしている私を、横目でチラッと見た彼は、


「今日は暇なら、この部屋の整理整頓してくれてかまわないぞ。」


『なんか…、調子よくない?』


「別に、イヤならいいけど。」


『やらせていただきますぅ。』


そう言ってふくれる私を見て、彼はクスクス笑った。


「高いところはいいからな。お前すぐ落ちるし。」


からかうように彼は言う。


『うっっ…あの時はすいませんでした。』


私が素直に謝ると、笑っていた彼は、


「まあ、怪我なくてよかったよ」


と言って頭をポリポリと掻いた。


(もしかして照れてる?)


私は彼の背中を見つめながら微笑んだ。


そして私は彼に喜んでもらおうと太陽が沈むまで、夢中で部屋の整理をしていた。



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