ワタシノタイヨウ
校門前にみんな集まると、お好み焼き屋に向かって歩き出す。


自転車組は席を取る為に、先に行ってしまった。


私の隣りではユウ君がおいしそうにポカリを飲んでいた。


もちろん私が買った物だ。


「飲む?」


ふいにユウ君が目の前にポカリを差し出す。


『えっ、い、いらない。』


私は慌てて手を左右に振る。


「じゃあオレ全部飲んじゃうよ」


そう言うと一気に残りのポカリを飲みほした。


私は顔が少し熱くなるのを感じ、ユウ君に気づかれないよう斜め上を向いて歩く。


(ハァ〜、なんで私が慌ててんのよ。ユウ君は全然平気そうなのに。カッコ悪る……)


私はユウ君の顔をチラッと見た。


すると、私をジーっと見つめているユウ君と目が合う。


「先輩…もしかして照れてる?」


『な、なんで照れなくちゃいけないの!』


「チェッ、つまんねーの。」


そう言ってすねた顔をした。


私はすねてるユウ君がかわいくてクスクス笑いだす。


「なんだよ、笑うな。」


『だって、かわいいんだもん。』


「なっっ、男にかわいいとか言うなっ!」


真っ赤になりながら、私の髪の毛をグシャグシャっとすると走り出した。


『きゃっ。こらー待てー!』


私はやり返そうとユウ君を追いかけるが全然追いつけない。


お店の前まで辿りつくと、


「先輩遅せ〜よ。」


ハアハア言ってる私を見て、ケラケラ笑いながらお店に入っていった。



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