ワタシノタイヨウ
「先輩何食う?」


ユウ君は当たり前のように、私の隣りに座る。


『えっとね〜……』


私がしばらく悩んでいると、


「優柔不断だなぁ。」


そう言ってメニューを私から奪うと、勝手に選んで注文してしまった。


『ちょっとー何勝手に私の分まで頼んでんのよ!』


「だって先輩待ってたらいつになるかわかんないし。オレが食べたいやつ頼んどいたから。半分ずつにすれば2種類味わえるじゃん。オレって賢くない?」


大きな黒い瞳を輝かせながらニッコリ笑うユウ君を見ていたら、反論する気が失せてしまう。


(もう、この笑顔に私弱いんだよなぁ。)





みんな食べたいものを頼み、部活や友達の話しなどをして盛り上がっていた。


(みんなで騒ぐのはやっぱり楽しいなぁ。)


私は笑いながら、お好み焼きを頬張る。


するとさっきまで一緒になって笑っていたユウ君が、急に私の耳元で囁いた。


「先輩って、青山先生と仲いいの?」


『えっ…』


予想もしない名前が、ユウ君の口からはっせられたので、私は驚いた顔で振り向く。


私の顔を見たユウ君は、


「…やっぱり……」


そう呟くと少し辛そうな顔をした。


『なんで…そんなこと聞くの?』


そう聞きながら、私はユウ君の辛そうな顔が気になった。


「えっと……この前あいつに用があって、資料室にいるって聞いたから行ってみたら……先輩の声がして…覗くつもりはなかったんだけど…楽しそうに話してるの見たからさ……」


ユウ君はうつむきながら、怒られた子供が、言い訳をするように話した。



*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
< 64 / 156 >

この作品をシェア

pagetop