ワタシノタイヨウ
相変わらず特に反応のない彼の背中を見つけると、後ろ手にドアを閉め近くへ走り寄る。


『先生、アイス買ってきたよ。一緒に食べよ。』


私がコンビニの袋を彼の顔の横に突き出すと、それをチラッと見て


「部活終わったのか。」


『はい!もう外めちゃ暑いです。だからアイス買ってきたの。』


私がニッコリ笑って言うと


「じゃあ溶けないうちに食うか」


そう言って私の方を向いた。


「ところで、アイス何買ってきたんだ。悪いけど、バニラとかチョコとか甘い系はダメだから…」


『えっと、私の好きなガリガリ君買ってきたんだけど…』


「もちろんソーダ味だよな。」


彼は上目使いに私を見てニヤリと笑う。


『うん。もちろん!』


「んじゃ食える。やっぱガリガリ君はソーダ味じゃないとな。」


そう言って私からアイスを受け取ると、袋を開けかぶりついた。


(先生ガリガリ君好きなんだぁ。そんで、甘い系は苦手か。またひとつ先生の事知っちゃった。)


ガリガリ君を美味しそうにかぶりつく彼の姿がかわいくて、私はクスッと笑ってしまった。


「何笑ってんだ。早く食わないと溶けるぞ。」


そう言われて慌てて私もアイスにかぶりつく。


さっきまでかいていた汗がアイスを食べた事によって、いくらか冷やされ引いていくのがわかった。



*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
< 73 / 156 >

この作品をシェア

pagetop