ワタシノタイヨウ
少し気まずい雰囲気だったので、話題を変えようと口を開こうとした時、彼がボソッと聞いてきた。


「そいつとは…親しいのか…」


(えっっ!?)


私はなんとなく誤解されたくなくて、言い訳をしてるみたいに焦って話す。


『あ、あのっ、なんだかなつかれちゃってるっていうか…えっと…あっでも、私にとっては弟みたいな感じで…。』


彼は私を横目で見ると、先ほどまでの重たい空気を打ち消すかのように…


「ふ〜ん。そういえば…今井先生が鈴原とやたら仲がいい奴がいていつもいちゃついてるって言ってたなぁ。」


(はいぃ、あいつ何余計な事言ってくれちゃってるのぉぉ)


『あの、だからそれは違っ…』


必死に否定している私は、体中汗だくになっていた。


「何が違うんだ。」


仕事をしていた彼の手がピタリと止まった。


辺りはシーンと静まり返る。


そして私の方を向くと…


彼の顔がゆっくり近づいてきた。


(えっえっ、ど、どうしよぅ。先生の顔がっ…近づいて……)


私は彼の真剣な表情に目をそらす事が出来きない。


私の心臓は口から飛び出しそうなくらいドキドキしていた。


彼の手がすっと私の頬に伸びる。


私はぐっと目を閉じた…。



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