ワタシノタイヨウ
でも……


(…ん?)


彼の手は私の頬には触れず、そのまま通り過ぎ……


私の背後にあった本を掴んだ。


『へっ!?』


私は目を開くと、一気に身体の力が抜ける。


それを見た彼はニヤリと笑った。


「どうした?顔真っ赤だぞ。あぁ暑いのか、じゃあこれ…」


引き出しからうちわを取り出すと私に渡した。


(からかわれたっ!?)


『先生っ!』


私はうちわを持った手を彼に向かって振り上げた。


でも簡単に手首を掴まれ、再び彼の顔が私の目の前に……


「オレに手を挙げるなんて100年早い。反省しろ。」


そう言って、私の鼻をぐいっと摘んだ。


私がふがふが言ってると、それを見てケラケラ笑い出す。


『せ、先生ぇ、ごめんなさい!もう離してっ…』


「ん〜、どうするかな。」


楽しそうに笑っている彼を見るとさっきのは気のせいだったのかなと思ってしまう。



結局、ユウ君の事ははっきりしないままごまかされた感じだった。



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