ワタシノタイヨウ
早く用事を済ませて彼を捜したい私は、少しそわそわしていた。

そんな私を見て今井先生は、


「何か用事でもあった?手伝わせちゃって悪いね。」


と申し訳なさそうに言う。さすがの私も、


『いえ、大丈夫ですよ。』


と一応愛想笑いを見せ、そして何気なく


『あの…青山先生ってどこにいるか知ってます?』


と彼の居場所を今井先生に聞いてみた。そんな私を見て、


「あ〜やっと笑ったね。鈴原とはほとんど話した事ないから嫌われてるのかと思ったよ。でも青山先生のファンだったのか〜。残念だなぁ。」


と今井先生は少しおどけたように言った。


『そ、そんなことないですよ。』


私は慌てて否定したけど、


「照れる事ないよ。でも彼職員室にはいなかったな。まだ帰ってないはずだけど。」


と言い資料室で荷物を降ろす。


部屋を出ようとした時、私はふと窓の外を見た。

すると裏庭にあるベンチに横になっている人が見える。

本で顔が隠れていたけど、私にはすぐに彼だと分かった。


私は彼がいなくならないうちに裏庭へ行かなくちゃと思い、前にいる先生の横をすり抜け


『じゃあ失礼します。』


と一言いって裏庭へ急いだ。後ろから、


「ありがとな〜」


と言う先生の声は、もう私の耳には入ってこなかった。



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