ワタシノタイヨウ
ユウ君はそのまま私を引き寄せ抱きしめた。


(えっっ!!)


私の身体はユウ君の腕の中にすっぽり入ってしまった。


ユウ君は何も言わずギュッと抱きしめる腕に力を入れる。


私は一瞬この状況が理解出来ず、頭の中が真っ白になった。


でもすぐ我に返ると、


『…ユウ君、離…して…』


なんとか声を絞り出した。


私の声にハッっとしたユウ君は、慌てて腕を離し、


「ご、ごめん…」


真っ赤な顔でうつむく。


そしてくるっと後ろを向くと、


「先輩がっ、あんなくだらない嘘言うからいけないんだからな!」


『…ごめん。』


私は素直に謝った。


「…っ彼氏欲しいなら、オレがいつでもなってやるよ。」


『えっ!』


ユウ君は私を振り返らずに、真っ直ぐ走って行ってしまった。


私は走り去って行くユウ君の後ろ姿を見つめながら、自分の顔が熱くなるのを感じていた。


(今のって告白!?それとも冗談!?)


なんとなく辺りを見回す。


とりあえず誰にも見られてはいなかったようでホッとした。


でもすぐにユウ君にギュッと抱きしめられた事を思い出す。


いつもふざけあって身体に触れる事はしょっちゅうだったけど…


抱きしめられた時、ユウ君も男なんだと改めて感じた。


そう思ったら私の心臓はドキドキして、しばらく止まらなかった。



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