ワタシノタイヨウ
私が叫んだ瞬間、入口のドアがガラッと勢いよく開いた。


「てめぇ、何やってんだよ!」


ユウ君が私の目の前に飛び込んできた。


「先輩から離れろっ!」


そう言って今井先生の腕を掴んで私から引き離そうとする。


『ユウ君…』


私は恐かったからなのか、ユウ君が助けにきてくれてホッとしたからなのか、目から涙が溢れてこぼれた。



「神尾……なんだ見つかっちゃったか。後つけられてたのか…。」


今井先生は抵抗せず、私からすんなり離れる。


私の涙を見たユウ君は、今井先生を睨みつけ怒鳴った。


「お前、先生のくせにっ…何やったかわかってんのかよ!」



今井先生は鼻でふっと笑うと、


「まだ何もしてないけど。」


そう言って両手を上げてみせた。


「今度また先輩に何かしてみろ、ただじゃおかないからなっ!」


ユウ君は私の手を取り、部屋から出ようと歩き出す。


興奮気味のユウ君とは対照的に、今井先生は冷静な声で一言、


「ガキに何が出来るんだよ。」


ライターのカチッと言う音が聞こえた。


「鈴原またなぁ。」


今井先生を見ると、ニコっと笑いながら私に手を振っている。


それを見たユウ君は今井先生を睨みつけると、勢いよくドアを閉めたのだった。



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