ワタシノタイヨウ
「でも、ユウ君だっけ?なかなかいい子じゃない。一度顔見た事あるけど結構いけてたし。付き合っちゃえばぁ。」


ツキコは少し明るい声で、わざとおどけたように言った。


『もうっ…私が先生の事すごく好きなの知ってるくせにぃ…』


「ん、わかってるよ…。でもね、カスミが辛い思いしてるなら、すぐ手の届く幸せを掴んでもいいかなぁってちょっと思ってさ。カスミには泣いてるより笑ってて欲しいから…」


ツキコの優しさが心に響く。


『ツキコ、ありがと…』


私は泣きそうになるのを必死にこらえていた。


『私、先生の事好きになって辛い事もいっぱいあるけど、幸せな気持ちになれる事もいっぱいある…それがすごく大切で、どんな事も乗り越えて行けそうな気がして…こんなふうに相手を想うのって初めてかもしれない。』


「うん、わかった。でも、泣きたくなったらいつでも呼ぶんだよ。一人で泣いちゃダメだからね。」


優しい声で私を応援してくれるツキコ。


私はツキコにパワーをもらって、この前のイヤな出来事も少しやわらいだ気がした。


(先生に会いたいなぁ…)


彼に会わずにお盆休みに入ってしまい、しばらく顔も見ていないし声も聞いていない。


部活が始まったら真っ先に彼に会いに行こうと、私は空を見上げ太陽に向かって誓ったのだった。



*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
< 91 / 156 >

この作品をシェア

pagetop