ワタシノタイヨウ

「こぉら、覗きかぁ。」


私の後ろから覆いかぶさるように壁に両手をつき、耳元で囁く声が聞こえた。


驚いた私は、後ろを振り返る。



(えっっ…!)



すぐ目の前に今井先生の顔があった。



「おぉっと。」



一瞬驚いた顔をした今井先生だったけど、すぐニヤっと笑い、



「このままキス…する?」



そう言って私の顎を指で少し持ち上げる。



(はあっ!?何言ってんの?)


『ちょっ…離して下さいっ!』


私は慌てて今井先生の腕を振り払った。



その拍子に手がドアにぶつかり、ガタンと大きな音をたてる。


(あっ、やっばぁ……)


その音を聞きつけて、誰かが近づいてくる足音が聞こえた。



(ま、まずいっ…)



とりあえず逃げようと思い、私が動き出そうとすると、今井先生に首に腕を回され動けなくなる。


(何するのよっ!)


私は心の中で叫びながら、今井先生を睨みつけた。


私たちがそんなやり取りをしていると……



ガラッ



勢いよくドアが開く。



そこには、私たちをじっと見つめる青山先生の姿があった。



*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
< 96 / 156 >

この作品をシェア

pagetop