ワタシノタイヨウ
『あっ…あの、これは…』
今井先生は私の首に回した腕を離そうとせず、ニコニコしている。
私は誤解されたんじゃないかと焦り、慌てて何か言おうと試みるが上手く言葉が出てこなかった。
慌てふためいている私と、今井先生を交互に見ながら、
「おまえら、こんなとこで何してるんだ…」
彼に怪しげな視線を向けられる。
(あぁぁ、誤解だよぉ先生…)
私がうなだれていると、
「見られちゃいましたかぁ。僕たち付き合ってるんですよ。秘密にしてて下さいね、青山先生。」
今井先生はあっけらかんとそう言い、両腕でガバッと私を抱きしめた。
『きゃあ、な、何するんですか、離して下さい!』
びっくりした私が必死にもがいていると、
「ふざけるのもそのへんで…」
青山先生は私の肩を掴んで、強引に今井先生から引き離した。
「やっぱり嘘ってばれました?」
悪ぶれるでもなく、今井先生は楽しそうに笑っている。
そんな今井先生の事は無視し、彼は私の顔を覗き込んだ。
『大丈夫か。お前こんなとこで何してたんだ?』
私は彼の顔を見てほっとしてしまい、なかなか言葉が出てこなかった。
「青山先生に会いにきたんだよな鈴原は。」
私の代わりに今井先生が答える。
そして私の頭の上に手を置くと、優しく撫でた。
「じゃあ後は任せましたから。」
今井先生は青山先生の肩をポンと叩き、私に向かってニコっと笑うと、そのまま職員室の中に消えて行った。
「まったくあの人は…」
今井先生の背中を見つめながら、呆れたように青山先生が呟く声が聞こえた。
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