嫌いなアイツ
こんな地味な私、すぐ飽きるだろう。そんな甘い打算は、彼によって打ち砕かれた。
半年経っても、彼は毎朝バス内で、私への言葉を繰り返した。
でも、その言葉を私が心から信じるわけにはいかなかった。彼の目撃情報は絶えないし、校内でも女の子が常にそばにいた。贈り物も沢山ある。時々、頬に手形や、首に歯形もプレゼントされていた。
そんなんだから、私は彼の言葉に「私も好き」なんて言うつもりは無い。
どうせ彼だって、簡単に裏切るから。そのうち真剣に好きな人が、私よりずっと美人で綺麗な人が、君を大切にしてくれるよ。
そして、今日も隣で色んな世間話を、面白おかしくする彼は、きっと少年から男になる。
その役目は、きっと私じゃない。
ほら、今日も綺麗なあの子が、あなたを愛おしげに見ているわ。
この勝負、私の負けなの。
END
「軽いアイツ」