嫌いなアイツ
恋なんて、したくなかった。恋なんて、恋なんて。あんな、苦しくぐちゃぐちゃにされる想いなんて。
最近、転校生がきた。転校生は、もてはやされるけれど、本来の意味で仲間には入れない。どこか、疎外感をずっと感じながら、愛想笑いをする。
5年前に転校生だった俺を、祐也だけは本当に友だちになってくれた。お互いに酷いやつだった。祐也は『女泣かし』で、俺は『ボス』。俺は、クラスのはみ出し者をからかって遊んだ。
酷いとわかっていても、俺は止めることができなかった。ブレーキが、壊れているのかもしれない。
だから今日も、クラスのはみ出し者の柊をからかって遊んだ。「好きだよ」とか言うと、本当に嫌そうな顔をするのが面白いと思ったから。
「なぁー柊さぁーん。付き合ってよ」
たまに低い声で言うと、ビクリと肩を震わす。でも、彼女は一切返事をしない。当たり前だと思う。自分でも分かってるんだ。
でも、最近は返事が無いと異常に苛つきをおぼえた。自分でも、何故こんなにも苛つくか分からない。けれど、コントロールができない。