本当の愛を知った日


敦史は紗結の隣に座った。

とめどなく溢れ出る涙を優しく拭った。


紗結はひたすら泣き続けた。

敦史は見ていて胸が苦しくなった。


耐えきれなくなり、紗結を抱きしめた。

紗結は敦史にしがみつくこともなく、敦史の腕の中で泣いた。

敦史は更に悲しくなった。


紗結は、今自分のことを求めていない。

俺から離れようとしている。


あの日。

想いを伝え合ったあの日。

あの言葉は嘘だったのか?

俺のことなんて…なんとも思ってないのか?


敦史は、泣き続ける紗結を抱きしめることしかできなかった。

お願いだから…俺の想い、伝わってくれ…




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