ひまわりの丘

“森のふくろう”からの帰り道、運転する蒼太君が言った。


「先にウチに寄ってもいいかな?」


……どうしたのかな?

りっちゃんと顔を見合わせた。


ジンさんの家の前まで車を乗り入れた蒼太君は、「ちょっと待ってて」と家の中へ消えて行った。

外に出てりっちゃんと待っていると、間もなく現れた彼は「はい」と、りっちゃんの目の前に両手を出した。

キョトンとしてるりっちゃん。

その手に渡された物は……それは、木彫りのうさぎ。


「前に、店に置いてあるのを見てたから。りっちゃんのイメージで掘ったんだけど」


葉っぱを前足で持って、ちょこんと座っている……確かに、りっちゃんに似てるかも。


「あ、ありがと……」


囁くように言っただけで、恥ずかしそうに俯いてしまったりっちゃん。

でも、とってもうれしいんだろうな。

< 101 / 212 >

この作品をシェア

pagetop