ひまわりの丘

大事そうにうさぎを抱えて帰って行くりっちゃんを、並んで見送った。


「それじゃ、あたしも帰ろっかな」

「あっ ユナちゃん、ちょっと待って」


ポケットに手を入れた蒼太君。

何かを取りだして、あたしの前に差しだした。


「これは由那ちゃんに。
ちょっと早いけど、もう少しで17歳でしょ?」

「あたしに?」

「うん。開けてみて?」


小さな紙の包みに手を掛ける。

スルっと左の掌に落ちてきた。

それは、細いシルバーチェーンに楕円型のガラス玉がぶら下がっている。

―― ブレスレット?

そして、透明のガラス玉に白字で彫刻されているのは ――


「ひまわり?」

「それは、由那ちゃんのイメージ。

この前、東京に帰った時に大学に行ってきたんだ。ガラス工芸を専攻してる友達がいて、教えてもらって作った」

「手作りなの?」


頷くかわりに彼は、いつもより更に柔らかく微笑んだ。

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