ひまわりの丘

蒼太君の穏やかな声を聞いても、あたしの気持ちは落ち着けずにいた。


「……丘の上には用があって来たの?」

「昼飯がまだだから誘いに来たんだ。あいつのことだから食べてないんじゃないかと思ってね」


確かに、食べてないかもね。

ご飯もまともに食べないで、昼間っから何をしてたんだか……。


「ねぇ蒼太君、ランチの相手ってあたしじゃだめ?」

「え……だめじゃないけど…」

「じゃあ行こ? 隼太、忙しいみたいだし」


丘の上には目も向けず、あたしは滑りこむように助手席に乗りこんだ。

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