ひまわりの丘

「兄弟っていっても似てないよね」

「あー……もしかして俺と隼太のこと?」

「そう、見ためも中身も全然違う」


そう言うと蒼太君は微かな笑みを溢して、湯吞に口をつけた。

ゆっくりとしたその動作を見つめながら、心の中で思った。


……本当に似ていない。

あんな奴、ずっと海外に行ってりゃよかったのに。そしたら会わずにすんだのに。


「でも芸術を志してるとこなんかが一緒なのは、やっぱり兄弟だからかな」


ため息をひとつ吐き出して、そんなことを言ってみる。そしたら蒼太君は意外なことを口にしたんだ。


「似てなくて当然だよ。俺たち、本当の兄弟じゃないから」

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