ひまわりの丘
すぐには意味が理解できなくて黙るあたしを、蒼太君は優しく見つめ返し――
「あいつ養子なんだ」
ぽつりと告白して、その続きを静かに教えてくれた。
蒼太君がまだ幼い頃、彼のお父さんは養護施設の園長をしていたらしい。
数名の園児しかいない小規模な施設。
生後間もなくの時から隼太は、そこで育った。
「たまに遊びに行ってたから、あいつのことは小っちゃな頃から知ってて。年も同じだから一緒によく遊んでた」
でも隼太が十歳の時、園児の数が二名のみになった施設は閉鎖されることに。
そこで、もう一人の園児は親もとへ引き取られることになったのだけど。隼太は、別の大きな施設へ移ることになった。
でも、新しい環境に馴染むことができずに何度も逃げ出しては連れ戻されたり、色んな問題を繰り返し起こすために施設側にも手を余されていた。
「見兼ねた親父がうちの養子にすることにして、それで俺の弟になった。名前も隼太っていうのはあいつが作った名前で、本当は、楠 秀(くすのき・しゅう)っていうんだ」