ひまわりの丘

「……シュウ?」

「そう。うちの養子になる前は、早田 秀(はやた・しゅう)だった。だからハヤタっていうのも、あながち偽名ってわけでもなくて。俺の名前が蒼太でしょ? だから『隼太の方が弟っぽい』って自分で名乗るようになったんだ。それがすっかりいまでは本名みたいになってる」


蒼太君の話によれば、生後間もない時に病院の前に置き去りにされてた隼太は、もともとまったく身寄りがないらしい。


「さっき、二人の年が同じって言ったよね?」

「俺が三月であいつは四月生まれだから、学年は違うけど誕生日は一ヶ月も違わない」

「じゃあ……同じハタチってこと?」


訊き返すと蒼太君が頷いた。

前にりっちゃんの家に皆で集まった時、未成年のくせに酔っぱらってって思ったけど違ったんだ。

考えてみれば、あたし隼太のことなにも知らなかった。

< 134 / 212 >

この作品をシェア

pagetop