ひまわりの丘

暗闇の中、遠ざかり去っていくテールランプ。

見送った後で振り返り、砂利道を一歩づつ踏みしめる。


「そこに座ってられたら、家に入れないんだけど」


目の前に立って言うと、隼太はゆっくりと顔を上げた。

こうやって隼太のことを見降ろすのって初めてかも。いつもは見上げてたから。

くっきりとした瞳を縁取る長い睫毛や、真っ直ぐに通った鼻筋、キレイな形をした唇………。

改めて思う、美しい顔立ちだなって。

中性的っていうんだろうか、本当に綺麗な顔してるよね。

本当に綺麗な顔だけど、悲しげにも見えるのはあたしの気のせいかな。


……ねえ、あんたも施設育ちだったんだね。血のつながった人の顔、誰も知らないんだよね……。


「兄貴とのデートは楽しかった?」


無邪気に笑うけど、吐く息はとても白い。


「自分だって、あの娘はどうしたの?」

「ナナだったら、由那が行ってすぐに帰したよ」

「そう…」

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