ひまわりの丘
隼太の右手があたしの左手に、左手が右手に届く。
その冷たさに驚いて、訊いた。
「いつからここにいたの?」
「由那が出て行ったすぐ後から」
「ずっと?」
「うん」
子供みたいな笑顔、目を反らせない。
「ここに座ってさ、嫉妬してたんだ」
「嫉妬?」
「由那と一緒にいる兄貴にね」
あたしの指先を軽く握っていただけの隼太の指が、ゆっくりと絡んでくる。
女のあたしよりちょっとだけ骨ばっていて、だけどしなやかな肌触りに心臓が反応を示した。
「寒いの得意なの?」
「ううん、ちょー苦手」
「だったら帰ればよかったじゃない」
こんな意地悪を言いながら、触れられた指を離せないのはどうしてだろう。
「凍えそうなくらい寒かったけどさ、うれしいこともあったから」
「なに?」
「由那も嫉妬してくれてた」
そう言ってまた笑う、まるで大きな体をした子供のように。
「なに言ってるの? あたしは嫉妬なんてしてな…」
「してたよ。俺と一緒にいたナナに」