ひまわりの丘

絡んでいた指が解かれて、大きくて冷たい掌であたしの手の甲を包んだ。

あんなに腹を立てていたのに……。

容赦なくピッチを上げる鼓動に戸惑う暇もない。


「相変わらず自意識過剰だよね」

「俺は本当のことしか言わないだけだよ」


手を引かれるその力に負けて、その場にしゃがみこむ。

あたしの方がちょっと低くなる目線。

見下ろしていた隼太の顔が近くなって、胸がじわりと熱くなった。


「隼太のことずっと苦手だった」

「でも、今は違う」


腕に抱いていたジャケットをあたしに羽織らせ、肩に手が置かれる。

< 140 / 212 >

この作品をシェア

pagetop