ひまわりの丘
【迫る別れ】




「おつかれさまでーす」

牛舎を出る時、出入り口の傍で作業をしているジンさんに声をかけた。


「おつかれぃ! オマエ、最近なんかいいことあったのかぁ?」

顔を上げて含み笑いをするジンさん。


「ううん、別にないよ。どうして?」

とあたしが訊き返すとジンさんは

「どうしてって近頃のオマエは、やけに張り切ってるみたいだからよっ」

と言って、隣に建つ自宅へと目線を動かした。


朝の7時半。
その二階では、蒼太君と隼太がまだ眠っているはずだ。


このままだと、ジンさんにもっと追求されそうで

「べーつに、張り切ってなんていないし」

と言って、あたしは外へ飛びだした。


雪の白さが目に眩しい。冷えた空気に包まれて、思わず身震いをした。

早いもので、もう12月。今年も残り10日程となった。

< 143 / 212 >

この作品をシェア

pagetop