ひまわりの丘
【迫る別れ】
「おつかれさまでーす」
牛舎を出る時、出入り口の傍で作業をしているジンさんに声をかけた。
「おつかれぃ! オマエ、最近なんかいいことあったのかぁ?」
顔を上げて含み笑いをするジンさん。
「ううん、別にないよ。どうして?」
とあたしが訊き返すとジンさんは
「どうしてって近頃のオマエは、やけに張り切ってるみたいだからよっ」
と言って、隣に建つ自宅へと目線を動かした。
朝の7時半。
その二階では、蒼太君と隼太がまだ眠っているはずだ。
このままだと、ジンさんにもっと追求されそうで
「べーつに、張り切ってなんていないし」
と言って、あたしは外へ飛びだした。
雪の白さが目に眩しい。冷えた空気に包まれて、思わず身震いをした。
早いもので、もう12月。今年も残り10日程となった。