ひまわりの丘
丘の上へと続く小道を歩く。
雪に刻まれた隼太の靴の跡。あたしより歩幅の広いそこをなぞっていく。
少し前まではアトリエに一日中籠っていた隼太も、さすがにこの寒さではあそこで夜を超すのは厳しいらしく、ジンさんの家とアトリエを往復していた。
秋から描いていた絵は少し前に仕上がり、新しい作品に取りかかり始めたところのようで。
それを描き終えたら、ここを出て行ってしまうのだろうか?
近頃のあたしの頭を支配してるのは、そのことばかり。
“捨て子”という立場上、新しい土地へ行っても、誰にも迷惑をかけないように生きていく……それが、あたしの使命。
八ヶ月前、そんなふうに思っていた。
だから、誰かを好きになる。
なんてそんなの、有り得ないことだった。