ひまわりの丘
「おはよ」
言いながら扉を開けて、油絵の具の匂いに身を投じた。
そうすることで、とっても安堵するんだ。あたしの体も心も。
散らかっている机の上に適当な場所を空けて、サキさんお手製のお弁当を置いた。
すると、キャンバスに向かったままの背中が言った。
「たまにはさ、由那が作ってよ?」
「なにを?」
「弁当」
「……イヤ」
作ってみようかな、なんて考えたこと実は何度もあって。でも、それってちょっと気が進まなかった。
だって、そこまでしたら押し付けみたいだって思ったから。
「どうして嫌なんだよ?」
「どうしても!」