ひまわりの丘

隼太の後ろに立って、描きかけのキャンバスを眺めた。

黄色でもオレンジでもなく……だけど鮮やかで美しい色。


「ひまわり?」

「うん。サキさんの発注でね」


筆を握った手がしなやかに動く。

その指を見ていたら、心臓がドクンと波打った。

それに、男のくせにサラサラの綺麗な髪の毛や、ブルーグレーのチェックシャツを纏った背中も。

見つめていると、思わず触れたくなる。

隼太ではなく“シュウ”って呼びたくなる。


「その絵が完成したら、またどこか外国へ行くの?」

何気ない感じで尋ねた。


「うん。そのつもり」

何気なく返ってくる応え。


どうしようもないくらい胸が締めつけられる。

それは、苦しくて……痛いんだ。

< 147 / 212 >

この作品をシェア

pagetop