ひまわりの丘

「俺さ、ウチの兄貴のことスンゲエ好きなんだ」


唐突な隼太の言葉。
もしかして、あたしと同じこと考えていたのかな? って思った。


「あんないいヤツ、そうはいないよ」

続けて放たれた言葉に、黙って頷いた。


そして隼太は筆を持つ手を止めて

「俺が由那のことを好きじゃなかったら、兄貴ってさ、超おすすめ物件なんだけどね」

と振り返り優しく微笑んだ。


サラリと言われた『好き』という台詞。初めて耳にしたその言葉に、胸の奥が反応する。


それから隼太は、「でも…」とあたしの目を見て、

「いくら兄貴でも、こればっかりは譲れないから」

って言ったの。


でもね……そんなこと言ってその絵を描き終えたら、置いて行くんでしょ?

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