ひまわりの丘



サキさんが入院して五日後のことだった。

東京に住むサキさんの息子さんが、お見舞いにやって来た。


「母が大変お世話になっているようで」


60歳を過ぎたばかり程に見えるその人は、そう言って目を細めた。

上品な物腰と優しそうな雰囲気が、サキさんによく似ている。

あたしが挨拶を返すと、まじまじと顔を見られた。


「それにしても……マサキに、よく似ているなぁ」


久しぶりに、その名を耳にした。


「そんなに、似ていますか?」

「うん。目元なんて瓜二つだよ。
それに、亡くなった私の姉の若い頃にもそっくりだ。マサキは母親似だったからね」


ということは……この人は、あたしの祖母の弟ということになる。

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