ひまわりの丘

帰りの車の中であたしは、後ろの座席で一人、隼太とキョウコさんの話す声を何処か遠くに感じていた。


「俺も、サキさんの家の前で降ろしてよ?」

隼太がキョウコさんに言った。


アトリエに行くのかな?


「また新しいの描くの?」

尋ねたキョウコさんに隼太が答える。

「しばらくは、ここでは描かないよ。出て行く前に、ちゃんと片付けて行かないとさ」


しばらくって、どのくらい?


「今度はどこへ行くの?」

「わかんない。まずは東京に戻ってみないと。
できれば、ここより暖かい国へ飛びたいけどね」

って座りながら伸びをした隼太の両手が、助手席のシートから覗いた。


ねぇ どうして、そんなに明るく話せるの?

< 164 / 212 >

この作品をシェア

pagetop