ひまわりの丘
帰りの車の中であたしは、後ろの座席で一人、隼太とキョウコさんの話す声を何処か遠くに感じていた。
「俺も、サキさんの家の前で降ろしてよ?」
隼太がキョウコさんに言った。
アトリエに行くのかな?
「また新しいの描くの?」
尋ねたキョウコさんに隼太が答える。
「しばらくは、ここでは描かないよ。出て行く前に、ちゃんと片付けて行かないとさ」
しばらくって、どのくらい?
「今度はどこへ行くの?」
「わかんない。まずは東京に戻ってみないと。
できれば、ここより暖かい国へ飛びたいけどね」
って座りながら伸びをした隼太の両手が、助手席のシートから覗いた。
ねぇ どうして、そんなに明るく話せるの?