ひまわりの丘
「由那ちゃん、いつでも遠慮しないで泊まりにおいでね」
「はい。ありがとうキョウコさん」
去っていく車を隼太と並んで見送った。
なんとなく地面に目線を落としたあたしは、顔を上げずにそのまま尋ねた。
「アトリエの片付けに行くの?」
「うん。由那、手伝ってくれる?」
俯いて首を横に振るあたしに、隼太が笑いながら言う。
「さっきから、何をそんなに暗くなってるんだよ?」
ここを出て行ったら、次はいつ会えるかわからないのに。どうしてそんなに普通にしていられるの?
「別に。なんでもない、けど……」
「けど?」
言葉が続かない。
言いたいことも訊きたいこともあるのに、それを言葉にしてしまうと悲しみばかりになってしまう。そう思った。
あと少ししか時間がないんなら、できれば笑っていたい。一緒に笑い合っていたいよ。
そう思ってもあたしは、隼太の前で笑顔でいることも、素直になることもできないんだ。