ひまわりの丘

丘の上までの道を、手をつないで歩いた。


「シャワー浴びてすぐに連れだされたら、湯冷めするよぉーっ」

「だから、ちゃんと風呂にお湯溜めて入れって言ったのに」


そういう問題じゃなくて、どっちにしても湯冷めはすると思うんですけど。

でも外の空気はひんやりとしていて、コートの中の体はぶるっと身震いまでしてしまうのに、つないだ手から伝ってくる温もりが心地いい。


「そしたら、一緒に入ってやったのにな」

「だから一緒に入るなんて、嫌だってさっきも言ったでしょ?」

「この前は、入ってもいいって言ったくせに」

「この前? あの時は……もうっ 朝から、そんな話しないでよ?」

「じゃあ朝がダメなら……夜になったら何してもいいんだ?」


つないでいた手が解かれて、肩を抱かれる。距離が近づいて、隼太の匂いを感じた。

じゃれ合いながら歩く。

ずっと、こんな感じがいいと思った。

ずっと、こんな時間が続けばいいのにって。

でも、こうやって寄り添ってる今だって、どんどん時間は流れ“さよなら”の手前まで来てるんだよね?

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