ひまわりの丘

「明日、またこうやって見送らなきゃいけないんだね?」

隣を見上げると

「ごめんね」って苦笑した蒼太君。


「まったく。どうして同じ日の飛行機に乗らないかな?」

「由那ちゃん、俺に言わないでよ? 先にチケット取ったのはこっちなんだから」


今日は隼太が旅立って、明日は蒼太君が帰ってしまう。

別れなんて何度もあったら、その数だけ悲しくなるのに……。

置いてけぼりの身にもなってよね?


「由那ちゃん?」


不意に呼ばれて振り向くと、彼の様子がさっきまでとは違うことを感じた。


「どうしたの蒼太君?」


そしたら蒼太君は、展望デッキの柵から手を離しこっちを向いた。

その真剣な目に戸惑いを感じていると、彼が言ったの。


「一緒に東京へ行かない?」


沈黙が二人を包んだ。

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