ひまわりの丘
家に帰ると、庭が見える窓の傍にサキさんが座っていた。
さっきジンさんと交わした会話のせいかもしれない。
その丸まった小さな背中が、あたしを寂しい気持ちにさせた。
「日向ぼっこしてるの?」
声をかけると優しく笑い返してくれる。
「あら、おかえりなさい。ねぇ 由那ちゃん、外は暖かいのかしら?」
「そうだね。風はまだ冷たいけど」
もうすぐ4月になるというのに、冬と春が半分づつ存在するみたいな気候が続いていた。
「ソウちゃんも隼太君もいなくなっちゃって、寂しいねわねぇ」
窓の外を見つめたままサキさんが言った。
寂しいけど、でも仕方ないよ。みんな、それぞれの道があるんだから……。
「由那ちゃん、ひまわりが咲くのはもうすぐ?」
「ひまわり? まだ4ヶ月も先だよ」
「そうか……でも早く見たいわね」
桜もまだ咲いていないのに、夏の向日葵を待ち侘びているサキさんがいた。