ひまわりの丘

「それから十七年が経過して……去年、彼女は突如僕の前に姿を現した。というより偶然の再会だった。

『水内 沙織さん』という呼び出しを聞いて、僕は待合室に目を走らせた。

間もなく椅子から立ち上がった彼女を見て……時が止まったように感じたよ」


いま、彼の口から語られている物語が、沙織さんの話だなんて信じられない。


……女教師と男子生徒 ――

禁断の恋ってやつ?

そんなの、想像するなんて無理。絶対無理!

外見だけを見れば、沙織さんという人はよく言うと、上品で控えめな女の人って感じだろうか。

でもあたしに言わせれば、“感情の無い、無機質なロボットのような女”というところだろう。

別に、敢えて悪く言ってるわけじゃない。



「あの……訊いてもいいですか?」

あたしは、話の続きが待てずに尋ねた。

「なにかな?」

幼い子供と会話するような、優しい口調だった。

< 193 / 212 >

この作品をシェア

pagetop