ひまわりの丘
「それから十七年が経過して……去年、彼女は突如僕の前に姿を現した。というより偶然の再会だった。
『水内 沙織さん』という呼び出しを聞いて、僕は待合室に目を走らせた。
間もなく椅子から立ち上がった彼女を見て……時が止まったように感じたよ」
いま、彼の口から語られている物語が、沙織さんの話だなんて信じられない。
……女教師と男子生徒 ――
禁断の恋ってやつ?
そんなの、想像するなんて無理。絶対無理!
外見だけを見れば、沙織さんという人はよく言うと、上品で控えめな女の人って感じだろうか。
でもあたしに言わせれば、“感情の無い、無機質なロボットのような女”というところだろう。
別に、敢えて悪く言ってるわけじゃない。
「あの……訊いてもいいですか?」
あたしは、話の続きが待てずに尋ねた。
「なにかな?」
幼い子供と会話するような、優しい口調だった。