ひまわりの丘
「だけど、彼女のかたく思い詰めたような表情を見て、何も訊けなかった。
お祖母ちゃんと君のお母さんは、一度だけ会ったことがあるんだ。
僕が高校3年の夏休みのことだった。
北海道に住むお祖母ちゃんと、その時はまだ健在だったお祖父ちゃんが、東京へ遊びに来て、『東京見物がしたい』って言われた。
でもその日は生憎、叔父夫婦は知り合いの結婚式で留守をしていたし、僕の方は、野球部の練習があって付き合うことができなくて。
その話を彼女にしたら、ガイド役を買ってでてくれたんだ。
あの時、お祖母ちゃん達は、すごく喜んでいたよ。
北海道へ帰った後も『親切で優しくて良い先生だ』って、何度も何度も言っていた」