ひまわりの丘

「『助けてほしい』だなんて一体どうしたのか僕が尋ねると、彼女に『今年で17歳になる娘がいる』と言われた。

『その子を預かってくれる人を探している。自分には、頼れる親類も友人もない』ってね。

とても、切羽詰まっている感じだった」


そんなこと言われたって……

切羽詰まっていようが、あたしを捨てたことには変わりないんだ。


「そして、そんな頼みごとをしてくる理由を聞いて、僕は決めたんだ。
出来る限りの協力をしよう、ってね」

と彼は、そこで一旦言葉を切った。


そして

「ここから先は、彼女には口止めされていることなんだ」

と、それまでとは違う真剣な眼差しをあたしに向けた。


「僕は、東京を発つ前に沙織さんに伝えた。
葬儀に行けば、恐らく君に会うことになるだろうって。

そしたら、彼女は言った。
『自分が何処にいて何をしているのか、それだけは言わないでほしい』と」


沙織さんが、何処にいて、何をしているか ――?


「……だけど僕は、是非伝えるべきだと思ってる」

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