ひまわりの丘

「はーい」


返事をしてから、皆のいる方へ向き直る。


「由那ちゃん、元気でね」

りっちゃんの言葉に、すかさずマモルオジサンが言った。

「リツコ、違うだろ?
……今は『行ってらっしゃい』で、いいんでねぇか?」


すると、さっきまではかたい表情をしていたりっちゃんの頬が緩んだ。


「由那ちゃん、行ってらっしゃい」

「うん。行ってきます」



頭の上に掲げた右手を、力いっぱい振る。

みんなの笑顔と声を背中で受けながら、助手席へ乗りこんだ。

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