ひまわりの丘
「アメ、食うか?」
向日葵のようないくつもの笑顔に見送られてから、一時間。
ジンさんはあたしに、ガムやキャラメル、ポテチにチョコ……ずっとお菓子ばかりすすめてくる。
後ろの座席には、膨らんだコンビニの袋が二つ乗っかっていた。
「ジンさーん、あたし子供じゃないんだから、そんなオヤツばっか食べないよー。
こんなに買い込むより、車の中を掃除しといてよ! 一応、レディが乗るんだから」
「へっ? 何処にいなさるんですか? そのレデーとかいうお方はぁー!?」
鼻の下を異常に伸ばしたジンさんの変顔が、助手席のあたしに向けられる。
「ちょっとヤメテよー。もう、キモすぎっ!」
あえて明るく送りだしてくれる、みんなの優しさが身に染みた。
その時、膝の上の携帯が振動した。