ひまわりの丘

サキさんの家のポストの色を、塗り替えに来たソウタ君。

手際良く、ペンキを染みこませたハケを動かす様を見ていた。


「サキさん、優しいでしょ?」

「はい。とっても」

「この辺りの人達は、みんないい人ばかりだから心配ないよ」


そしてまたあの笑顔を見せる。

すると途端に、あたしの体は緊張感に包まれてしまって ―― あれっ なにこれ。

あたしってば、なにを意識してるんだろ?


「あのっ」

「ん?」

「いえ、えっと……あっ 名前、ソウタさんっていうんですね?」


なに言ってんの。いまさら名前の話なんて。

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